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「店長のシフト表=就業規則」にはならない?~マクドナルド事件から学ぶ労務管理の落とし穴~

「シフト表は毎月ちゃんと作ってるし、それで労働時間も管理してるから大丈夫!」
そう思っている事業者の皆さん、ちょっと待ってください。

名古屋高等裁判所が下した『日本マクドナルド事件』の判決は、そうした“なんとなく運用”の危うさを改めて教えてくれるものでした。
実は、**就業規則や労働契約に「書いてあるかどうか」**が、法的にとても重要なのです。

 

この判決から、中小企業が気を付けるべき“変形労働時間制の落とし穴”をわかりやすく解説します。

■ 事件の概要

この事件では、マクドナルドの店長が店舗ごとに独自のシフト表を作成し、それをもとに1カ月単位の変形労働時間制を運用していました。
会社側は、「各店舗でシフトを柔軟に組むのは当然」「店長が作るシフトも就業規則と同じようなものだ」と主張しました。

 

しかし、裁判所の判断は違いました。

■ 裁判所の判断

名古屋高裁は次のように判断しました:

  • 就業規則には“4つの基本シフト”しか書かれておらず、それ以外のシフトは明記されていなかった

  • 店舗独自のシフト表を「就業規則と同じ扱い」とはできない

  • 法律上の変形労働時間制を認めるには、就業規則やそれに準ずる書面で、「いつ働くか」をあらかじめ明確に定める必要がある

 

そのため、この会社が運用していた変形労働時間制は「無効」と判断され、時間外労働として扱われる可能性があるという結果になりました。

■ 中小企業が気を付けるポイント

この判決から学べるポイントは次の通りです:

 

  1. 勤務シフトの時間帯(始業・終業・休憩)を就業規則にきちんと明記すること

  2. 複数パターンある場合は「別表」などで網羅的に記載し、従業員に周知しておくこと

  3. 「実際に運用しているから大丈夫」ではなく、「文書でどう定めているか」が大切

■ 専門家からの一言

 

「たくさんのシフトパターンを就業規則に全部書ききれない!」という声もありますが、何百パターンも記載している企業も実在します。
要は、「働く人が事前に自分の労働時間を予測できるようにしているか」が重要なのです。


【まとめ】

どれだけ丁寧にシフトを組んでいたとしても、それが「就業規則に明記され、きちんと周知されていなければ」法的には無効となるリスクがあります。

 

変形労働時間制を使っている事業者の方は、今一度就業規則の記載内容と運用方法を見直してみてください

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