例えば、ある会社でAさんとBさんという二人の従業員が、就業中に口論になり、ついにはけんかに発展してしまいました。
その結果、Aさんが腕を骨折してしまい、全治3か月と診断されました。
この状況に直面した上司のO課長は、「このケガを労働基準監督署に報告する必要があるのだろうか?」と悩んでいます。
- どんな場合に報告が必要?
法律(労働安全衛生規則第97条)では、従業員が仕事中にケガをして休業する場合、その事故を労働基準監督署に報告しなければならないと定められています。
これは、国が職場でのケガや事故の原因を分析し、再発防止策を講じるためです。
もしこの報告を怠ると、会社には50万円以下の罰金が科せられる可能性があります!報告義務は非常に重要です。
- けんかでも報告する必要があるの?
このケースでは、AさんとBさんのけんかは個人的な問題によるものでしたが、就業時間中に起こったケガである以上、報告が必要です。
たとえ仕事とは直接関係のないけんかだったとしても、職場や勤務時間中に起こったケガは報告対象となります。
- ケガをしても休まなかったら?
しかし、Aさんがケガをしたものの、翌日から通常通り出勤して休まなかった場合はどうでしょうか?この場合、報告する必要はありません。
なぜなら、法律では「4日以上休業した場合」や「死亡した場合」に報告が義務付けられているからです。
例えば、Aさんがその日のうちに早退したとしても、その後1日も休まなければ報告の必要はありません。
- 実際にあったケース
実際に、従業員同士のもみ合いによってケガが発生し、その結果、会社が報告を怠って書類送検された事例もあります。
例えば、長野県の農協では、従業員同士の口論から肋骨を骨折するケガが発生し、約3週間の休業となりました。
しかし、適切に報告が行われなかったため、労働基準監督署によって書類送検されました。
- まとめ
従業員が就業中にケガをした場合、その原因が何であれ、しっかりと報告義務を守ることが大切です。
特に経営者の方は、こうした労働災害の報告が遅れると、罰則を受けるリスクがありますので、労働基準監督署への報告を怠らないようにしましょう。